Take A Little Walk With Me

年間ベストアルバム等。

マルちゃん焼きそば(3人前)と母への懺悔

 


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今思えば、我が家の休日のお昼ごはんは焼きそば率が高かった。

僕の家は、朝はご飯かパンで、夜はご飯となんとなくだけど決まっていた。理由はなんか夜中お腹すいちゃうから腹持ちの良いご飯でっていうことらしい。

平日昼は給食だったので、母の作る麺料理は休日昼に食べられるものだった。


そんな中でもたくさん作ってくれたのがマルちゃん焼きそばだった。

野菜たっぷり入った焼きそば。それに青のりを好きなだけかけていいシステム。

紅生姜の素晴らしさに気がつくのにそこまで時間もかからなかった。

ジャンクな味がほしければマヨネーズなんかをかけたりして、カスタマイズして美味しく食べていた。

 

この頃から焼きそばが好きだった。

 

部活から帰ってきて、焼きそばだよって言われて、シャワー浴びて心地よい疲労感と休日の開放感で食卓につく。お父さんがじゃあ午後から風呂屋と本屋行くか?なんていつものお決まりのセリフ言ったりして午後からのお出かけの予定話してたらおじいちゃんがお土産忘れないでな〜みたいな会話をしながらみんなニコニコしながら食べたな。


そんな僕も中学生くらいから自分で料理したり、お菓子を作ったりするのが楽しくなってきた。

いつの間にか、朝遅く起きてきてブランチとして自分で作ったご飯を食べたりしていた。


そのときにもマルちゃん焼きそばをよく食べた。

いつも一袋半。3食入りなので一つをビニールの上から2つに割って作って食べた。

そのときにたどり着いたのは、水をほとんど入れない、きちんと焦げ目がつくまで麺を焼いて、一旦取り出して、めちゃ少なめの野菜と肉を炒めて、麺を戻して粉末ソースを加え完成。粉末ソースが絡んでからチリチリさせながら焼くのも大好き。

この頃から、今の一人暮らしまでずーっとこの作り方。一番美味しいと思う。この細麺と粉末ソースのスパイシーさの虜なのだ。

具は本当に無くていいくらい。天かすとたまごだけのジャンクな風に食すのが特にたまらない。


好きなものばかり食べていた。別に感謝なんてしてなかった。


高校に入ってすぐ。これは今でもずーっと後悔してるんだけど、母に「お弁当いらない、その代わりお昼ごはん代ちょうだい」と言ってしまった。

理由は欲しいCDとレコードが沢山あって、東京にライブを見に行ったりするためにお金を貯めようと思ったから。

母はどれだけ悲しかっただろうな、と思う。

当時は母も忙しそうにしてたから朝も楽になるし、ぼくも人前でご飯が食べられなくなってきていたのもあって(しばらく隠してたけど)どっちも損しないじゃんと思っていた。


全然違った。損とかそういう話じゃなかった。

思いを込めて作ってきてくれる母のお弁当を食べられることなんて、もうしばらくないだろう。


高校中退後一人暮らしした時に母の大変さが分かった。そしてあと何回母のご飯が食べられるのだろうと、弁当の件は後悔した。


今ではお母さんの作るご飯が1番安定していておいしい。特におにぎりときんぴらごぼうが上手だと思う。

ちゃんと美味しいと伝えて、また作ってくださいと頼む。お母さんのご飯が1番美味しいよと口に出す。

罪滅ぼしのつもりか?と自分が囁いてくるが知らん。これは伝えないといけないことだ。

 

この間久々に実家に帰って焼きそばを食べた。

焼きそばは〜と偉そうに講釈を垂れていた僕の前に有無を言わさず出された、ウインナーと大量の野菜が入った、おそらく水を沢山入れて蓋をして蒸したであろう柔らかい麺になったマルちゃん焼きそば。

たっぷりの青のりも久々だった。

一口食べて、あの頃の思い出と一緒になってなんか泣けてきた。

ウインナーは燻製の香りとソースが合わないとか、そんな話じゃないんだ。

ああ、美味しいな。家族は減ってしまって、目に映るものはいつの間にかキラキラしなくなったけど。美化された思い出を味わって勝手に感傷に浸っているだけかもしれないけど、美味しい、幸せな味だった。

 

 

マルちゃん焼きそばへ、これからも変わらず美味しいままでいてください。

母へ、あの時はごめんない。これからも元気でいてください。